男嫌いと噂の美人秘書はエリート副社長に一夜から始まる恋に落とされる。
「なにか、連絡でもありましたか?」
「い、いえいえ、そういうわけでは!」

 慌ててスマホのディスプレイを暗くして、曖昧に笑う。

 というか、今の格好がいただけないような気もする。

「あの、えぇっと。服、着てきます……!」

 私は慌ててベッドから下りて、散らばる衣服を拾い上げる。なんだろうか。……こういうシチュエーション自体が初めてなので、どういう反応をすればいいかがわからない。

(シチュエーション自体じゃない、か。……私、男の人とこういう風になるのハジメテだし)

 理想を貫きすぎた結果、処女を貫いていた。あれ、ということは、私のハジメテの人って丞さんになる……の、か?

(うぅ、本当、好みド真ん中だから許せてしまう……!)

 記憶がないのが、ちょっと悲しい。

 私がどういうことを言ったとか、どういう態度だったとか。そういうのは蘇ってこないでいいから、彼の肉体美だけは蘇ってきてほしい。……都合がいいか。

 そう思いつつ衣服と下着を集める。そのまま逃げるようにバスルームに入って、扉を閉めた。
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