弟は離れることを、ゆるさない
2.


◆◆◆


まだ途中だった化粧道具とスマホと財布をバッグの中に入れて、葵と目を合わせることなく家を飛び出した。


バスに乗り、早々と集合場所の駅前へと着いてしまったため、近くのカフェへと入る。


スマホを開くと、葵から一件のLINEが届いていた。


【今日の夜、母さん達ばあちゃん家に泊まってくるって。門限5時。夜飯食わずにさっさと帰ってきて】


葵が怖くて逃げ出してきたのに、距離を保とうとしてくれない。


うちの門限は特にない。
八時を過ぎるようだったら家に一度連絡を入れる程度でいい。他の家よりとても甘いと思う。


それなのに、葵は欲望の為に私に門限を押し付ける。


【今日、合コンだよ。五時なんて誰も帰らないし、途中で抜けれないよ】

そう返事をすると、

【じゃ迎えに行くわ。場所教えて】

すぐに既読になり早く帰ってくるように急かす。


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