弟は離れることを、ゆるさない
3.


■□■□


最初は仲が良い姉弟だったはず。


琴音のこともちゃんと『姉ちゃん』と呼んでいた。でも、俺が成長するにつれ、琴音のことが『姉ちゃん』に見れなくなった。


一人の女性に見えていた。ずっと一緒にいたい人になっていた。


友人に聞かれた「どういう子がタイプ?」の質問に「姉ちゃん」と答えたことがあった。すぐに「冗談」と答えたが、一瞬、ゴミのような目で俺を見たことが未だに忘れられない。


それほどまでに、俺が琴音のことを好きということはおかしいんだと、言っちゃいけないことなんだと分かった。


気持ちを抑えれば抑えようとするほど、以前に増して意識するようになった。


もっと話したい。

もっと笑いかけてほしい。

この手で触れたい、キスをしたい。


けれど、この願望は一生叶うことはない。せめて琴音にカレシができないように見張ることしかできなかった。


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