弟は離れることを、ゆるさない
4.


■□■□




私はただ、葵の好きな人の代わりに抱かれるんだと思っていた。


それなら仕方がないと割り切っていた部分もあったけれど、葵から押し倒されてキスをされて、たったこれだけなのに葵が私の弟じゃなくなっているのを感じた。


今まで意識しないで生きてこれた。

これからも葵は私の弟のはずだった。


それなのに、キスされただけで勘違いしそうになる。だから咄嗟に「悠生くんと恋愛がしたい」と嘘を吐いた。


悠生くんとは合コン時、数時間一緒に過ごしただけで、私の中ではそれ以上でも以下でもない。


悠生くんの名前を出したら目を覚ましてくれるかと思っていたのに、

「俺が好きなのは琴音だよ」


 迷いが一切感じられない葵。ずっと前からそうだったように、当然のように気持ちを伝えてくる。





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