本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第16章 3 高級イタリアンレストラン
「な、何で亮平がここに……?」
けれど亮平は私の質問に答えない。
「イタリアンレストランの店を予約してあるんだ。そこへ行こう」
「え!? イタリアンッ!?」
信じられない。今まで2人で行ったお店はファミレスしかなかったのに? それが予約でしかもイタリアンなんて。
「ね、ねえ! 待ってよ亮平!」
私はさっさと前を歩く亮平を追いかけるように後を追った。するとそれまで前を歩いていた亮平が突然立ち止まると私の右手を握りしめてきた
「え? ちょ、ちょっと! 離してよ!」
こんなところ、もし知り合いに見られたら……。だけど亮平は聞く耳を持たずに、どんどん歩き続けるので私はもう黙って手を引かれて歩くことにした――
連れて来られたお店はこの辺でも高級なレストランとして有名なイタリアンレストランだった。
「え? こ、このお店なのっ!?」
「ああ、そうだ。入ろう」
そして亮平は私の返事も聞かずにさっさと中へ入って行く。手を繋いだままで……。
亮平が予約していた席は窓際のボックス席だった。テーブルには雰囲気のあるカットグラスの中にろうそくが立てられ、炎の明かりが揺らめいてとても幻想的だった。
「鈴音、何ぼんやりしてるんだ? 好きなの注文しろよ。お金の事なら気にするなよ。ボーナスも入ったばかりだから懐は潤ってるからな」
亮平は私にメニューを渡しながら言う。だけど、私は納得がいかなかった。
「ねえ、亮平。一体これはどういう事なの? どうしてお姉ちゃんとの待ち合わせ場所に亮平が来ていたの? お姉ちゃんはどうなったの?」
すると……。
「鈴音……」
「な、何?」
「とりあえず食事をしながら話そう。俺、腹が減ってたまらないんだ」
「わ、分かったよ……」
そこで私はトマト・モッツァレラチーズ・バジルのカプレーゼと鯛のカルパッチョ、そしてアラビアータを注文した。
「鈴音、ワインは飲まないのか?」
亮平が尋ねてきた。
「うん、電車に乗って帰るしその後は自転車だから……やめておく」
「そうか、だったらお前の住んでいる新小岩駅にしておけば良かったかな」
「何言ってるの。そんな事したら亮平が帰り遅くなるでしょう? それに亮平と一緒のところを彼に見られたら勘違いされちゃうでしょう?」
「勘違い……か。分かったよ、じゃあ注文するか」
亮平は手を上げてウェイターを呼ぶと料理を注文した。亮平の頼んだのはミラノ風カツレツ、アラビアータ、バーニャカウダ、それに赤ワインを注文した。ウェイターが頭を下げて去って行った。
「そっか、亮平はワイン飲むんだね?」
「ああ、まあな」
「ねえ、そろそろどういう事か教えてくれる?」
「鈴音……ちょっと見ない間に変わったな。なんて言うか……うん、綺麗になったな」
「え?」
あまりにも突然の言葉に一瞬頭の中が真っ白になってしまった。私は今まで一度も自分の容姿を亮平に褒められた事などなかったのに、何故今頃になってそんな言葉を? 私の戸惑いを他所に、亮平は続ける。
「やっぱりお前を変えたのはあいつか? 川口がお前を変えたのか? だがな、あいつは……あいつは駄目だ! お前を不幸にするだけだ!」
どこかイライラした口調の亮平。
「ね、ねえ何言ってるの? どうして亮平が直人さんの事をそんな言い方するの? それにお姉ちゃんが今日来るんじゃなかったの?」
すると亮平が驚くべきことを口にした。
「忍は来ない。俺が忍に頼んで鈴音を呼び出してもらったんだ。そうじゃないとお前が会ってくれないと思ったからな」
「亮平……?」
私には何故亮平がお姉ちゃんを利用してまで私を呼び出したのかさっぱり理解できなかった。
「ねえ、どうして亮平は今夜私を呼び出したの? 何か大事な話でもあったの?」
「そ、それは……」
亮平が口を開いた時。
「お待たせ致しました」
ウェイターが料理を運んで私達の前に来ると、料理をテーブルの上に並べ、「ごゆっくりどうぞ」と言い残して去っていく。
「鈴音、まずは食べよう。食べてから詳しく話すよ」
「う、うん。分かったよ」
そして私はフォークに手を伸ばした――
けれど亮平は私の質問に答えない。
「イタリアンレストランの店を予約してあるんだ。そこへ行こう」
「え!? イタリアンッ!?」
信じられない。今まで2人で行ったお店はファミレスしかなかったのに? それが予約でしかもイタリアンなんて。
「ね、ねえ! 待ってよ亮平!」
私はさっさと前を歩く亮平を追いかけるように後を追った。するとそれまで前を歩いていた亮平が突然立ち止まると私の右手を握りしめてきた
「え? ちょ、ちょっと! 離してよ!」
こんなところ、もし知り合いに見られたら……。だけど亮平は聞く耳を持たずに、どんどん歩き続けるので私はもう黙って手を引かれて歩くことにした――
連れて来られたお店はこの辺でも高級なレストランとして有名なイタリアンレストランだった。
「え? こ、このお店なのっ!?」
「ああ、そうだ。入ろう」
そして亮平は私の返事も聞かずにさっさと中へ入って行く。手を繋いだままで……。
亮平が予約していた席は窓際のボックス席だった。テーブルには雰囲気のあるカットグラスの中にろうそくが立てられ、炎の明かりが揺らめいてとても幻想的だった。
「鈴音、何ぼんやりしてるんだ? 好きなの注文しろよ。お金の事なら気にするなよ。ボーナスも入ったばかりだから懐は潤ってるからな」
亮平は私にメニューを渡しながら言う。だけど、私は納得がいかなかった。
「ねえ、亮平。一体これはどういう事なの? どうしてお姉ちゃんとの待ち合わせ場所に亮平が来ていたの? お姉ちゃんはどうなったの?」
すると……。
「鈴音……」
「な、何?」
「とりあえず食事をしながら話そう。俺、腹が減ってたまらないんだ」
「わ、分かったよ……」
そこで私はトマト・モッツァレラチーズ・バジルのカプレーゼと鯛のカルパッチョ、そしてアラビアータを注文した。
「鈴音、ワインは飲まないのか?」
亮平が尋ねてきた。
「うん、電車に乗って帰るしその後は自転車だから……やめておく」
「そうか、だったらお前の住んでいる新小岩駅にしておけば良かったかな」
「何言ってるの。そんな事したら亮平が帰り遅くなるでしょう? それに亮平と一緒のところを彼に見られたら勘違いされちゃうでしょう?」
「勘違い……か。分かったよ、じゃあ注文するか」
亮平は手を上げてウェイターを呼ぶと料理を注文した。亮平の頼んだのはミラノ風カツレツ、アラビアータ、バーニャカウダ、それに赤ワインを注文した。ウェイターが頭を下げて去って行った。
「そっか、亮平はワイン飲むんだね?」
「ああ、まあな」
「ねえ、そろそろどういう事か教えてくれる?」
「鈴音……ちょっと見ない間に変わったな。なんて言うか……うん、綺麗になったな」
「え?」
あまりにも突然の言葉に一瞬頭の中が真っ白になってしまった。私は今まで一度も自分の容姿を亮平に褒められた事などなかったのに、何故今頃になってそんな言葉を? 私の戸惑いを他所に、亮平は続ける。
「やっぱりお前を変えたのはあいつか? 川口がお前を変えたのか? だがな、あいつは……あいつは駄目だ! お前を不幸にするだけだ!」
どこかイライラした口調の亮平。
「ね、ねえ何言ってるの? どうして亮平が直人さんの事をそんな言い方するの? それにお姉ちゃんが今日来るんじゃなかったの?」
すると亮平が驚くべきことを口にした。
「忍は来ない。俺が忍に頼んで鈴音を呼び出してもらったんだ。そうじゃないとお前が会ってくれないと思ったからな」
「亮平……?」
私には何故亮平がお姉ちゃんを利用してまで私を呼び出したのかさっぱり理解できなかった。
「ねえ、どうして亮平は今夜私を呼び出したの? 何か大事な話でもあったの?」
「そ、それは……」
亮平が口を開いた時。
「お待たせ致しました」
ウェイターが料理を運んで私達の前に来ると、料理をテーブルの上に並べ、「ごゆっくりどうぞ」と言い残して去っていく。
「鈴音、まずは食べよう。食べてから詳しく話すよ」
「う、うん。分かったよ」
そして私はフォークに手を伸ばした――