同僚に研究と彼氏を盗られて田舎で鉱物カフェしていたら出会った、溺愛とろあま御曹司
御曹司と私
あれ? おかしいな?
私、来客のないお店の店番が退屈すぎて居眠りしてるのかも!
白昼夢をみてるのよ!
だって、こんな神代の美貌を持った男の人、そうそういるわけないし! 私のお店に入るわけないし、しかも名前を呼んで手を握るはずもないし!

「僕は北園自動車から来ました北園涼晴(きたぞのりょうせい)と申します。突然押しかけてすみません。神山帆夏さんですよね、樹脂材料の強化を研究しておられた」

き、北園自動車って。国内最大手で、日本が海外に誇れる北園グループの? あそこ? 
緊張で上擦りながら、私はどうにか彼に応じる。

「はい……たしかにその神山ですが」
「帆夏さん、君を探してここまできたんです」

いきなりの、下の名前呼び。
この北園さんというアフロディーテの加護持ちみたいな人は、距離も近ければ熱っぽく、私がかつて発表した論文の研究についてつらつら語り出す。

「帆夏さんの研究における先進性、独創性が素晴らしい。うちの製品でまさに欲しいと思っていた要求を満たすものがすでにあったと、見つけてそれは驚いたんだ。他にも、発表された論文を拝読しました」

いっぱい、いーっぱい褒めちぎられてる。その、研究が。
< 14 / 59 >

この作品をシェア

pagetop