旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
第七話
 オレリアがハバリー国にやってきて七日目。
 ラフォン城の隣にある礼拝堂で挙げられた二人の結婚式に立ち会ったのは、ハバリー国の関係者のみ。もちろん、トラゴス国の人間は誰もいない。
 ――ハバリー国も舐められたものだ。
 ――子どもじゃないか。
 ――まるでままごとだな。
 そういった声も聞こえてきたし、そう言われるだろうとオレリアもわかっていた。
 アーネストと並んで歩いても、彼の胸元にも及ばない身長。どこからどう見ても子ども。
 誓いの口づけは、アーネストがかがんでオレリアの額に唇を落としてくれた。どうしてアーネストがここまでよくしてくれるのか、オレリアにはわからない。
 だけどこれで彼とは家族になった。その事実がオレリアの心に光を灯した。
 結婚式が終わって食事会が開かれる。もちろんその中心となるのはアーネストとオレリアである。
「緊張したか?」
 食堂へと向かう途中、アーネストがオレリアを気遣って声をかけてきた。
 アーネストは、相変わらず軍服姿であるが、今日だけはその色が白だった。これがミルコ族の正装のようだ。派手な装飾もない、動きやすそうな軍服であるが、色がかわっただけでも雰囲気ががらりとかわる。
「……はい。今も、緊張しております。粗相をしてしまわないか……」
「気にする必要はない。知っての通り、ハバリー国にはたくさんの部族が集まっている。今日、招待したのも各部族の族長たちだ。彼らは、自分たちの伝統に従って食事をするから、相手の作法がどうのこうのとは言わない」
 まるでオレリアの心を読んだかのような言葉に、気持ちが軽くなった。
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