旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
第八話
 ハバリー国の闘神とも呼ばれる男、アーネストの妻となったオレリアであるが、結婚したからといっていきなり大人になるわけではない。次の誕生日がくるまでは八歳のままであるし、やはり胸もお尻もぺったんこのままで、急激に育つわけでもない。
 そんなオレリアの後見人として族長、つまり国王の父親であるデンスが名乗りあげたとのこと。それは、結婚式を挙げる前日に決まったのだとか。
 未成年で不安定な子どもには、ハバリー国内での後見人をつけたほうがいいと、デンス自ら提案したそうだ。アーネストの妻という立場はあるのだが、それでも子どもは子ども。夫の他にも必要だろうと思ったようだ。
 しかし、それが今となっては功を奏している。なによりも、夫のアーネストが不在になってしまったからだ。
 デンスがいなかったら、オレリアを守ってくれる人物はいなかっただろう。いくらダスティンとマルガレットがオレリアの味方だとしても。
「族長?」
 後見人となったデンスをなんて呼んだらいいか、それがオレリアの最大の悩みであった。彼はミルコ族の族長だった。
 今ではミルコ族の代表である奪スティンがハバリー国の国王でもあるため、ミルコ族に族長はいない。だけど、アーネストは彼を族長と呼んでいたし、他のミルコ族もデンスを族長と呼ぶ。ダスティンを国王と呼んで、区別しているようだ。
 だから、オレリアもデンスを族長と呼んでみたのだが、彼は初めて顔を合わせたときのように難しい顔をしている。鼻の上にまで縦筋を刻んだ。
「族長さま?」
 余計に縦筋が深くなる。
< 50 / 186 >

この作品をシェア

pagetop