シロツメクサの優しい約束〜いつか君を迎えに行くよ〜

抱き上げられて

季節の移ろいは早く、気づけばもう秋。

学校行事の一つ、球技大会の日がやって来た。バスケットボールやバレーボール、サッカー、ソフトボールといった球技で、全学年入り乱れてクラス対抗で戦うのだ。

私はバレーボールに参加していた。

三年生チームとの対戦中のことだ。ボールを返して打ち上げた直後、私はバランスを崩してしまった。まずいと思った瞬間、足首を捻り、尻もちをついた。

挫いた……。

足首を抑えていると、私の名前を呼ぶ声が近くで聞こえた。この声は……と思ったと同時に、誰かの手が私を抱き起こす。

「みちえちゃん、大丈夫?!」

「征司君、どうしてここに……」

「偶然通りかかったんだ」

審判役の先生がホイッスルを鳴らした。

「どうした!?」

先生に向かって、征司は言った。

「ケガしたみたいです」

「えっ!」

先生は驚いた顔をして試合を中断させると、慌てて私の傍までやって来た。しゃがみこんで私の足首にそっと触れて、顔をしかめた。

「あぁ……。これは早く手当した方が良さそうだな」

先生は征司に言った。

「えぇと、早瀬君だっけ。君、保健室まで連れて行ってもらっても大丈夫かな?」

「はい、大丈夫です。……立てる?」

「あの、自分で行けるから」

そう言いながら立ち上がろうとして、私はまたバランスを崩しそうになった。

それを慌てて征司が支える。

「無理しちゃだめだよ。俺の肩につかまって」

「えっ、でも……」

「ほら、早く」

「一人でなんとか行けるし……」

コートの中にいることをつい忘れて押し問答をしていると、征司がふうっと大きく息を吐いた。次の瞬間、私の体がふわりと浮く。気づいた時には、私は征司に抱えあげられてしまっていた。
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