シロツメクサの優しい約束〜いつか君を迎えに行くよ〜

どうしたいの？

そこまで征司の話を黙って聞いていた私だったが、次第に苛立ちが募って来た。

一体何を言いたいのだろう。自分の気持ちを整理するためだけに、私を呼び出したのだろうか。

私は眉根を寄せながら、征司に言った。

「何を言いたいのか、よく分からない。昔はこうだったっていう思い出話？それとも、これからこうなりたいっていう話？だって征司くんには、彼女がいるじゃない。それなのに、どうしてわざわざ私にそんな話をするの？」

征司が即座に答えた。

「彼女とは、別れた」

私は息を飲んだ。

「別れた……？あんなに仲が良さそうだったのに？」

「彼女は中学の同級生だった。ずっと、俺を好きだと言ってくれていた。でもその頃俺はまだ、みちえちゃんが好きだったから、断り続けていたんだ」

征司は哀しそうに小さく笑った。

「だけど高校に入って、みちえちゃんに避けられてるって思って、もうこの気持ちは捨てることにした。それで、付き合うことを決めたんだ。そんな始め方は彼女に申し訳ないと思ったけど、彼女はそれでもいい、って言ってくれた。俺自身も彼女に甘えて、いつかは彼女を心から好きになれる日が来るかもしれないって思い直した。それで付き合い続けてきたけれど、でもやっぱり事あるごとに、みちえちゃんの顔が頭をよぎるんだ。このまま自分の気持ちを騙したままでいいんだろうかと思いながら、彼女と付き合っていた。でもあの球技大会の時に、実はみちえちゃんから嫌われていたわけじゃないってことを知って、すごく嬉しかった。そうしたら、彼女とはもう付き合えないと思った。しばらくは自分の気持ちを宥めるようにしながら、彼女と付き合っていたけど、だんだんと罪悪感で苦しくなってしまって……」
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