借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜


「私が娘だったら、颯斗くんはお兄ちゃんかな」



 そう言いながら、颯斗くんが本当のお兄ちゃんだったら……と想像してみる。呼び方はどんなだろう。「颯斗お兄ちゃん」とか「颯兄ちゃん」かな。


 兄弟姉妹がいるクラスメイトのことも同時に思い返す。うらやましく思ったのは一度や二度ではない。


 そんな同級生たちは皆して、「ひとりっ子のほうが絶対いいって!」と反論してきたけど、色々あっても仲が良いんだろうな……と言葉の節々からなんとなく察していた。


 颯斗くんがお兄ちゃんだったら……ケンカはしないかもな。どっちかって言うと、わがまま言っても全部叶えてくれそうでちょっと怖い。


 でも凛斗くんがいるし、ちょうどいい感じでバランスのとれた関係に──。



「和泉ちゃん」



 颯斗くんがいつになく真剣で強い眼差しを向けてきた。普段は雰囲気が柔らかいから緊張する。



「俺はさ、和泉ちゃんを妹だと思ったことなんて一度もないよ」


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