借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜


 まるで私の仕事なんてないんだぞ、と言わんばかりに整理整頓され、ピッカピカに掃除されている。


 ……無言の拒絶が、今は辛くなかった。


 それどころか、感謝したいくらいだった。


 目蓋の裏に、颯斗くんの優しい笑顔が浮かぶ。


 それを振り切るように、首を強く横に振った。



「さぁ、本のホコリを取らないと!」



 自分に言い聞かせるように宣言すると、一番上の文庫本から手をつけた。


 ハタキを使い、丁寧に汚れを取る。


 ……汚れなんてほとんどないけど、一応。


 こんなとこまで掃除してるんだなぁ……といっそ感心さえしていたけれど、ある一冊の本の前で手が止まってしまった。


 これは……。


 いけない、と思いつつ、手は本棚からその文庫本を取り出した。


 ああ、やっぱり……。


 心臓がドキドキ鳴るのが、自分でもわかった。


 あの作家さんの最新刊だ。

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