借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
お父さんの言葉に、「お母さんの体調は大丈夫なの?」と心配になったけど、口には出せなかった。
「さぁ、着いたよ」
もう車は料亭の駐車場に入ってしまったからだ。
駐車場からちらりと見える建物は厳しくて、いかにも「貧乏人はお断りします」という雰囲気だ。
本当に、ここに入るの……?
私の不安をよそに、お父さんは後部座席のドアを開けて私を恭しくエスコートしてくれる。
「お父さん、私……こんな格好だけど入っていいの?」
私は自分の服を見下ろした。
ジーンズにトレーナー。ちょっと近くまで買い物に行くならいいけど、こんな場所に行けるような服じゃない。
「心配しないで大丈夫だよ。ほら、行こう」
お父さんは私の手をグイグイ引っ張っていく。立派な門と白い暖簾が見えてきた。
「ここの“竹の間”を予約してあるんだ」
私を振り返りもせずに、お父さんは歌うように言った。