借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜


 ……目が泳いでいて怪しい。でも従うしかない。



「わかりました、荷物の準備をしてきますから、ちょっと待っててください」


「うん、慌てないでいいからね」



 気遣ってくれる安田さんに負担をかけたくなくて、大急ぎで荷物をかき集めて鞄に詰めた。私物は元々そんなにないから本当に“ちょっと”の時間ですんだ。


 それから安田さんの車に乗せられ、大きな洋館に連れていかれ……双子の男の子と出会った。


 二人とも背が高くて顔が綺麗だ。私は彼らの胸くらいまでしか身長がなくて、少しだけ怖く感じてしまう。彼らがそこそこ筋肉がありそうなのも怖く感じてしまう理由だろう。


 筋肉がゴリゴリってわけじゃなくて、筋が通ってしっかりしてる感じ。それが二人だから威圧感が半端ない。


 顔はどちらも整っているけど、颯斗と呼ばれていた子がちょっと垂れ目で栗毛。凛斗と言われた子はつり目がちで黒髪。


 そのくらいしか違いはないけれど、全く違うなと感じるのは、二人の表情の作り方が違うからだろう。
< 8 / 79 >

この作品をシェア

pagetop