NY・Sentimental
ずっと、キリキリ音がするんじゃないかと思うほど、張り詰めていたセイジの表情にようやく少しだけ明るさが戻った。
愛おしい、と、痛烈に感じた。
鯉は滝を登って超えると龍になる。
それならば部下は、何を超えたら男になるのだろう。
雨が強くなっていた。
十五階のセイジのアパートの大きな大きな窓には雫が万華鏡のように形を変えて、いくつもの神秘的な模様を作り出している。
雨のせいでまだ早い時間から濃紺の闇に支配される空。
それでもマンハッタンの光は、灯りのない部屋を少しだけ照らしていた。