夏の日、幽霊のキミに叶わぬ恋をした。
 それは、頭痛がするほど蝉の声が煩くてたまらない、溶けそうなほど暑い夏の日だった。

2024年8月13日

 俺の名前は天野咲人(あまのさくと)。趣味はゲーム。特技もゲーム。夏休みは友達と遊ぶより家でできるだけ長くゲームをしていたい、そんな人間だ。
「咲人!緊急!」
バンッと音をたてて、すごい勢いで俺の部屋のドアが開き、ビクッと体が一瞬浮かんだ。
「母さん!ノックしてって言ったでしょ!」
「なぁになぁに、やらしいことなんて何も無えじゃろ?そねーなんより、お小遣い多めにあげるけぇ商店街までちいと、おつけー(お使い)行ってくれん?」
ウゲッと思わず顔をしかめた。母さんの言う商店街とは、ここ、岡山県高梁市川面町から、電車で約1時間かけたところにある商店街のことである。
「なんでだよ。」
絶対行きたくないが、某アドベンチャーRPGを片手間にしながら、話だけは聞いてみる。
「ほら、明日ばあちゃんの誕生日で、ばあちゃん家に来る言うたじゃろ?けどあたしその事すっかり忘れとってプレゼント買うとらんのよ。小東屋(こひがしや)の和菓子買いてーんじゃが。お仕事忙しいけぇ買いに行けんし、母さんピンチなの!」
そう言うと、勢いよく床に膝をつき、立膝状態のまま手を顔の前でパンッと強く合わせた。
「お釣り余ったら使っていいし、壊れかけのキーボード、買ってあげるから……。」
少しかすれた声で言われたそれは、俺の心を大きく動かした。
「え、キーボード買ってくれんの。」
そう聞くと、少し間はあったが、ぎこちなく無言で頷いた。俺のキーボードは反応しづらくなっていて、ゲームするときや調べ物するときなど、随分イラつかされていた。しかし、高いキーボードを使っていたので、買い換えるのを渋っていたのだ。これは、行くしかない。
「行くか。」
満を持してゲームを終了し、パソコンの電源を切った。
「おー!ありがとのぉ、ほんまにありがとのぉ」
ダサい部屋着から私服にパパっと着替えて、母さんから5000円貰って勢いよく家をでる。
……。
「暑い…。」

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