振り向けば、キス。

③様々な思惑の直中で、

**

「なんやねん、あれ!」


「うっさいわ、桜!叫んどるひまあったら、西の方行け!柚しかおらへんねん、めっちゃ手薄や」


「あーー、もううっとうしい!

 分かった、行って来るわ」


東の空に不穏な光が見えたと思った、あの時刻から1時間ほど経過して、今度強烈なおかしさに包まれたのは京都の夜だった。

空が騒いでいたことが気になって、仲間に早めに別れを告げて天野邸に戻った途端、レプリカの剣を広げて玄関口に立っていた、同い年の従兄弟である桃につかまったのだ。


その桃が指し示す方向に迫っていたのは、ありえない数の霊気。

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