振り向けば、キス。

⑥夢うつつ。そして戻りたくないと願う。


***

「やだっ……」


氷沙は何時間たったのか、もしくは数分しかたっていないのか、それさえも分からないような、暗い空間に取り残されたまま、ただただ闇雲に逃げ惑い続けていた。


襲ってくるのは、意味の分からない化け物たちだ。

逃げても逃げても、見えない出口。


「いや、だ……」


疲れ果てて、立ち止まると、膝から崩れ落ちそうになってしまう。

だが、休もうとしても、襲ってくる化け物たちが休ませてはくれない。

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