玉響の花雫    壱
アルバイトしか経験がない私には
その言葉がかなりのプレッシャーを
すでに感じてしまう

それに‥入社して間もないのに、
会社の顔になる場所に自分が立って
やっていけるのかとても不安で仕方ない


受付の制服は業務が終わったら
ランドリーBOXに入れておくと
業者が回収してくれるので、
着替え用に2セット鍵付きの
ロッカーに入れられていた。


『早速掃除をしようか。
 これが終わったら私は上に戻るから、
 あとは山崎さんたちに
 バトンタッチかな。』


「あ‥あの‥‥‥私‥本当に受付で
 大丈夫でしょうか?」


言うつもりはなかったのに不安からか
ポロッと溢れた無責任な
自分の言葉に慌てて口元を隠す


「すいません、まだやってもないのに、
 弱音が出ました‥‥恥ずかしいですが
 ‥でも本当に不安です。」


山崎さんも佐藤さんも優しくて
品があり会社の顔として凛として見えた


でもその会社の顔というキーワードが
やっぱり重くのしかかり、表情が
どうしても重くなってしまう



『誰でも最初は一年生!!‥でしょ?』


こ、古平さん!?


『私も4年前は毎日泣いたし、
 こんなとこ辞めてやる!!って
 思ったことなんて数えきれないけど
 一つひとつの失敗を人より多く
 繰り返してきたから成長出来た。
 だからそうね‥‥やってみないと
 分からないから、まずはとにかく
 やってみてダメだったら
 その時また相談に乗るよ?
 私も蓮見さんも‥‥そうね、あとは
 筒井さんもみんないるから。』


鼻の奥がツーンとなり、
今にも泣きそうな目頭に
ぐっと力を入れて堪えると
次の瞬間背中をパンっと叩かれて
古平さんが声を出して笑った


誰でも最初は一年生‥‥か‥‥。

よく聞くフレーズだけど、
何故かすごく安心してホッとする。


みんな最初は出来なくても、過程を得て
今があるんだ‥‥。

私も来年までに少しでもいい過程も
悪い過程も経験したら古平さんのように
つよくなれるだろうか‥‥。


「ありがとうございます。」

『よし、いい顔!じゃあ行こうか。』

「はい!」


その後、植物の世話の仕方や、
フロントで使う備品がある地下に行ったりして、古平さんから山崎さんへ
バトンタッチされた。


『いい?口で説明出来ることと、
 実際見て実践しながら
 覚えていくことに分かれるから、
 電話応対や来客対応は見ながら学ぶと
 分かりやすいと思うから数をこなして
 いくしかない。
 あとここのパソコンで、全ての課の
 来客予定、会社名と訪問者様の名前、
 性別、特徴が10分刻みで表示され
 分かるようになっているの。
 色々な部署から、会議室の予約が
 次々と入ることもあるから、
 電話が来たら会議室の空きと何人での
 利用なのかを入力すること。』


話を聞きながらも必死でメモを取り、
山崎さんと佐藤さんの話に耳を傾ける。
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