玉響の花雫    壱
『お待たせしましたー』


着替えてから一階に行くと男性たちは既に着替え終えてリビングでくつろいでいて、古平さんは階段を降り切るとくるりとそこでターンした


『‥なんだよそれは。』

『えっ!!?本気で言ってます?今年の為にウェア新調したのに!?』


蓮見さんと言い合っている古平さんを他所に筒井さん達の方へ行こうとすると腕を引っ張られて後ろに倒れそうになる


『じゃあ井崎さんはどうですか?』

「えっ?わ、私は別に」

『おっ可愛い!!しかも格好完璧。』


えっ?完璧なの?


大学のサークルで何度も使ったトレーニング用のフィットネスパンツにハーフパンツを重ね、上はシンプルな半袖に脱ぎ着出来るようにお揃いの上着を着てるだけなんだから、古平さんの方がとても可愛いと思う。


『霞ちゃん、もしかして俺の気持ちが伝わってたからそれを着てきてくれたとか?』


「えっ!?あの‥普通に運動しやすい服って‥‥ウワッ!!」

これで何度目になるか分からない蓮見さんからの熱烈なハグに慌ててしまうと、あっという間に亮さんが剥がしてくれた。


『はぁ‥本当に相変わらずだな‥。井崎さん大丈夫?』


「は、はい、ありがとうございます。」


『チェッ、なんだよ!滉一にも注意しろよな?アイツが1番多分ちょっかい出してるから。』


ドクン

ちょっかいって‥あれはくだらないことで悩んだ私を正してくれただけだし‥‥


『もう行こう。アイツはほっとくのに限るから。』

『あっ!滉一逃げるなよ!』

『は?逃げてないし、俺のはちょっかいじゃなくてれっきとした治療だから』


えっ?‥‥ち、治療!!?


隣にいた筒井さんを見上げると何事もなかったかのように笑い亮さんと先に出て行ってしまった。

治療だったんだ‥‥‥そんな大人の治療‥初めてでどう応対すればいいか分からないよ。


あんなのは、筒井さんにとったら泣く子を黙らせただけの行動で、意味なんてきっとないんだと思う。


『はぁ‥。先が思いやられるね。井崎さん、お水持ってってね。』
 

「はい、ありがとうございます。」

いったい何処へ行くのか分からずに外へ出ると、さっきまではなかった物に驚いて古平さんの方を見てしまった


『ね?気持ちよさそうでしょ?』


いつの間に用意されていたのか、ずらーっと5台並べられた自転車の前で筒井さんたちはストレッチを始めていた

 
さっきはちゃんと見てなかったけど、3人ともタイトなフィットネスパンツにショートパンツを合わせて上は既にTシャツ1枚になり、体の鍛えられた筋肉がそれぞれ際立っている


スーツ姿だと分かりにくかったけど、体のラインが出る服装だと意外にガッチリされてて目のやり場に困る
< 55 / 146 >

この作品をシェア

pagetop