口に甘いは腹に毒

 当日ドタキャンとか、非常識極まりない。

 せめて昨日、いや一昨日帰ってすぐに言えばよかった。


 玉露くんには拒絶され、那由多先輩に嫌われることをして。

 全部の行動を間違えてる。



「……すみません、行けないです」

『え……』

「行けるわけ、ないです……」



 那由多先輩を好きになれる気がしてた。

 玉露くんにキスされる前までは。


 今はもう、何してても玉露くんしか浮かばないし。

 きっと、那由多先輩といたって罪悪感が積もっていくだけだ。



『──……』



 返事がない。

 呆れて物も言えないか、怒りが沸いているか……なんにせよ、傷付けていることだけは確か。


 玉露くんと仲の良いままでいたいとか、那由多先輩の気持ちに応えたいとか。

 自分に良いことだけ欲張った結果だ。

 今更気付いても遅いよね……。

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