女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。
こういうのは毅然とした態度で断らねばならない。押しに弱い性格だと思われては損だ。
「真面目だなあ、瀬那は」
「特待生の学費免除条件は、一年間の総合順位十位以内に入ることだからね。一応来年もこの学園にいるつもりだから」
「でも瀬那、編入してからずっと一位だろ?」
「必死に一位保ってるの」
それはもう、血を吐くような努力を毎日毎日。
全くピンときてなさそうな累くんはそれでもなお食い下がる。
「わかった今日は諦めるよ。その代わり、学園祭一緒に回ろう」
「学園祭?」
「うん。最終日だけでいいから」
言われて思い出した。
テストでいっぱいいっぱいだけど、学園祭はこのテストが終わってすぐだ。
学園祭は三日間。一応初日は詩織ちゃんと回る約束をしてるけど、最終日は空いている。
「わかった。一緒に回ろっか」
「やった! デートだね」
「二人で出かけることをそう呼ぶならまあそうだけど」