雨のち、恋。
確かに、周囲の人たちの恋愛を応援していながら、自らは恋愛からは一歩引いていた。

亡くした弟と重ねて見てしまいそうで、それは相手にも失礼だと分かっていた。

実際、三上のことも始めは弟と重ねて見てしまった。
ラグビー部で鍛えたガタイの良さが、まるで弟のようだったからだ。

私が教えたことだけではなく、接客時に役立ちそうな情報、流行りのお笑いネタまで、ジャンル分けされて綺麗に書かれたノート。

それをふと目にしたときから、几帳面なところが垣間見えた。

その時初めて、三上を弟と重ね合わせることなく、三上親太朗その人として向き合えた気がした。

アパートの前まで送ってくれた彼の腕をそっと引いて、引き留めた。

「まだ、正直自信はないの。
ふとした瞬間に、三上と私の亡くなった弟を重ねて見ちゃいそうで。
それでも、三上と友達以上にはなりたい。

そこをスタート地点にして、ゆくゆくは私の親友たちみたいに恋人になりたいし、ちゃんと苗字同じにしたいって思ってる。

何なら、まだ今日も一緒にいてほしい。

ダメ、かな?」

「華恋先輩の方から言わせるつもり、なかったんですけどね。
今仰ってくれたそのままの気持ち、そのまま受け取っちゃいますよ?

今に見てて下さい。
弟さんと重ねて見られなくなるくらい、俺に惚れさせて見せますからね?
先輩。

じゃなかった、華恋。

何なら、華恋さえ良ければ泊まっていい?」

彼からの言葉にそっと頷いた。

私の恋は、心に降る長雨が止んで、ようやく走り出した。

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