騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!
この寮は下位貴族のご令嬢達が住んでいるから、皆準備が出来ると寮前に準備されていた貸し馬車に乗る。二階にある私の部屋から、ドレスの裾を気にしつつ階段をゆっくりと降りて寮を出ると、6人乗りの茶色の馬車が二台停まっていた。
私の部屋の隣に住むご令嬢が私を見つけたらしく、馬車の中から手を振ってくれた。そちらの馬車に向かうと御者の方がドアを開けてくれて、空いていた一番手前の席に落ち着いた。
「テレシア卿も交流会に参加するのね?」
「えぇ、両親に参加するよう言われてしまって……」
「そう……貴方も大変ね」
乗り合いとなったご令嬢達は、私がついこの前婚約破棄をされた事を知っているらしい。あまり触れないようにと楽しい話題を出した。
まぁ、これから上位貴族のご令嬢達に笑いものにされかねない場所に行くのだから、気分的にも明るい話題にしたいでしょうね。ここにいる皆は男爵令嬢や子爵令嬢と下位貴族ばかりなのだから。
私の場合、笑いものにされるのは慣れている。だからそこら辺のご令嬢からのいびりは、第三騎士団で鍛え上げらたこの私を傷つける事なんて出来ないだろうから問題ない。もしどうしても傷つけたいのであれば、第三騎士団長くらい連れてきてほしいものね。
狩猟大会の会場となっているこの森周辺には、もうすでに警備員となっている騎士達が緊張感を漂わせて準備をしていた。そして、使用人達もだ。私達は下の階級の貴族の為最初の会場入りとなる。
ガーデンパーティーのように丸いテーブルがいくつも並んでおり、その先に二段の大きな台が設けられ、その上に豪華な椅子が二つ。国王陛下と王妃殿下がお座りになる椅子だ。
会場のテーブル席には身分の高い者達から順番に席に着くため、私達はまだテーブルの近くに立つだけ。会場には身分の低いものから入場するため、ずっと立ちっぱなしとなる。
当然、足が疲れてしまうご令嬢も結構いる事だろう。私は足を鍛えているから問題ないが。ご令嬢達も大変だ。