騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!

 服を勝手に脱がされ全て見られてしまい恥ずかしい思いをしている私を他所に、テキパキと身体を洗われ、そして湯船に入れられてしまった。

 何というメイド達の連係プレーとスマートな流れ作業。そんな彼女達に感服しつつも、とっても広くてすごく気持ちがいいお風呂を堪能させてもらった。はぁ、日頃の疲れが抜ける……

 普段入っている女子寮の大浴場は木の造りだけれど、ここは大理石のような清潔感溢れる豪華なお風呂だからずっと入っていたくなってしまう。

 お湯は乳白色で花びらが浮かんでいるけれど、どんな花だろうか。とってもいい匂いがするけれど、花はあまり知らないから名前を聞いても分からないかもしれない。

 その後のメイド達のマッサージの気持ちよさに危うく寝入りそうになるけれど、これから任務なのだから寝コケていられない。


「紅茶をどうぞ。リラックス効果がございますよ」

「ありがとうございます」


 極楽、とはこのことを言うのだろうか。紅茶の匂いもいいし美味しい。紅茶に詳しくないけれど、リラックス出来そうな気がする。任務なんて忘れてこの極楽気分にずっと浸かっていたい、とは一瞬考えてしまったかもしれない。気を抜かないよう気を付けよう。

 これから仮面パーティーに参加するのだけれど、騎士団員らしさを隠すためにこうして頑張ってくれているのだとしたら、土臭くて申し訳ない。

 生まれてこの方パーティーにはデビュタントに出ただけでずっと剣を握ってきた。縁談にだって団服で行った。

 ご令嬢と違って毎日鍛えているから筋肉も付いてるし、手だって剣ダコがある。となると他人と握手をすればバレてしまう可能性があるし、手袋は用意してもらう事は出来ないだろうか。極力、誰かと握手をしないように気を付けたほうがいいな。

 なんて思いつつ、何とも極楽な時間を過ごさせてもらってしまった。あの後結局転寝をして爆睡したのは団長様に秘密にしてもらったけれど、クスクス笑われてしまった事にはちょっと恥ずかしかった。昨日は緊張で寝られなかったから仕方ない、うん、仕方ない。
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