聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

「ルーカス君!」
「父……陛下に訪問していいか訊いておきます」
「もうすぐ前期試験があるから、それが終わってからでも研究メンバーで行けたらうれしい」
「ブランカ宮殿に現在居住している者はいませんが、管理している者がいるので、許可さえ取ればいつでも行けると思いますよ」
「ありがとう!」

(僕がブランカ宮殿を訪問したいのを、父上が『ダメ』だと言うはずがないから大丈夫だろう)

 ルーカスはマルティーナが今どう感じているのかを探りたくて、マルティーナの様子を窺った。
 その横顔はとても不安げに見えた。

(やはり君はヴァレリアなのか? いい思い出のないブランカ宮殿には行きたくない?)

「あの……」

 マルティーナが勇気を振り絞ったとわかる声を発した。
< 122 / 220 >

この作品をシェア

pagetop