大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【雨の物語】

(ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…)

時は流れて…

8月6日の午後1時過ぎであった。

この日は、朝から雷を伴った雨が断続的に降っていた。

この時、太平洋上《かいじょう》をウロウロとしていた台風が強い勢力に発達した状態で西日本へ向かっている…と朝のニュースで伝えられた。

正午を過ぎたあたりから雨の降り方が強くなったようだ。

またところ変わって、四国中央市妻鳥町《めんどりちょう》にあるセルフうどん屋にて…

比佐志《ひさし》さんは、セルフうどん屋のチュウボウで食器洗いのお仕事に取り組んでいた。

この時であった。

せつこさんがランチを摂るために来店した。

せつこさんは、大根のおでんと揚げ物2種類とおんたまうどん小を頼んでセイサンしたあと空いている席に座ったあと遠くから比佐志《ひさし》さんを見守った。

せつこさんは、比佐志《ひさし》さんをなんとかしてあげたいと考えていた。

比佐志《ひさし》さんと妻子《かぞく》と別居した状態を続けていたが、10日ほど前にたまよとリコンした。

リコンは、比佐志《ひさし》さんがたまよに対して一方的に突きつけた形であった。

そのまた上に、智之《ともゆき》のシンケンを一方的に破棄した。

リコンした理由は、たまよが今もウクライナ人のボーイフレンドを愛しているから…であった。

たまよは、比佐志《ひさし》さんのことが最初からキライだった…

智之《ともゆき》もまた、生まれた時から比佐志《ひさし》さんが大キライだった。

妻子《ふたり》とも、ウクライナへ渡りたいと比佐志《ひさし》さんに言うた。

こんな状態で妻子《かぞく》となかよく暮らせと言うてもムダだ…

比佐志《ひさし》さんは、そう思っていたにちがいない…

…………………………

(ドザー!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!)

時は、午後4時頃であった。

この時、雨の降り方がよりひどくなった…

同時に、大きな雷鳴がとどろいた…

また同時に、風速40ノット(20メートル)に相当する暴風がふきあれた。

市街地《まち》にやまじ風が吹きつける音がひびいた。

またところ変わって、チュウボウの入り口にて…

比佐志《ひさし》さんは、ベンチに座って休憩をしていた。

そこへ、せつこさんが比佐志《ひさし》さんのもとにやって来た。

せつこさんは、ものすごく心配げな表情で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「福津さん。」
「なんでしょうか?」
「ちょっと…話があるけどいい?」
「(比佐志《ひさし》さん、ひねた声で言う)話なんかしたくねえよ!!」
「どうして一方的にさえぎるのよ?」
「したくねえと言ったらしたくねえよ!!」
「困ったわね〜」

せつこさんは、困った表情で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「福津さん…数日前に…福津さんの奥さまが入院している病院に行ってきたわよ。」

比佐志《ひさし》さんは、ものすごく怒った声で言うた。

「なんでいらないことをしたのだよ!?」

せつこさんは、比佐志《ひさし》さんに対して困った表情で言うた。

「いらないことはしてないわよ〜」
「ふざけるな!!」

せつこさんは、ますます困った表情で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「福津さんは、どうして奥さまとリコンしたのよ?」

比佐志《ひさし》さんは、ものすごく怒った表情で答えた。

「たまよに男ができた…それだけですよ!!」
「それだけの理由でリコンしたの?」
「妻はフリンしたのですよ!!フリン相手の男と一緒にウクライナへ行こうと言うたのですよ!!」
「ウクライナへ行こうって?」
「だから…妻は…オレに対して『カレと一緒にウクライナへ行くからリコンしてくれ…』と一方的にたのんだ…のですよ!!」
「それ、ほんとうなの?」
「ほんとうですよ!!…信じてくださいよ!!」

せつこさんは、ものすごく困った表情で言うた。

「福津さん…もう一度…奥さまと話し合いをした方がいいと思うけど…」

比佐志《ひさし》さんは、ますます怒った表情で言うた。

「なんで話し合いをしないといかんのですか!?」

せつこさんは、泣きそうな表情で言うた。

「奥さまは、あなたを必要としているのよ!!」

比佐志《ひさし》さんは、ものすごく怒った表情で言い返した。

「たまよがどう言おうと、オレはたまよの求めには一切応じない!!」
「困ったわねもう〜」

せつこさんは、ものすごく困った声で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「福津さん…うちも…むかし…好きな人がいたのよ…」
「あんたの昔ばなしなんか聞きたくねえんだよ!!」
「どうして話をさえぎるのよ!?」
「あんたの昔ばなしなんか聞きたくねえからやめろよ!!」
「福津さん、最後まで話を聞いてよ!!…うちも昔…好きな人がいたのよ!!」
「やめろと言うたらやめろ!!」
「話を聞いてよ!!…うちも昔…好きな人がいたのよ!!」
「やめろ!!」
「どうして話を聞いてくれないのよ!?うちも、あなたの奥さまと同じ夢を持っていたのよ…昔好きだった人はブラジル人よ…日系2世のブラジル人の男性だったのよ!!…ブラジルへ渡って、ふたりでコーヒー農園を営もうと…」
「作り話をするな!!」
「作り話じゃないわよ!!」
「そう言うあんたもダンナがキライだったと言うてるじゃないか!!」
「違うわよ!!昔大好きだったカレは、交通死亡事故を起こしたあとブラジルへ逃げて帰ったのよ…その時…うちは…カレが起こした交通死亡事故の代償を払えと…ご遺族の方に言われたのよ…うち…大金払うゆとりがなかった…その結果…うちは…ゴーカンの被害を受けた末に…リーダーの男のこどもを…身ごもったのよ…」
「だからダンナと結婚したのか!?」
「赤ちゃんにお父さんが必要だから結婚したのよ!!…だけど…転倒事故が原因で…胎内にいた赤ちゃんが…死んだのよ…」

比佐志《ひさし》さんは、冷めた表情でせつこさんに言うた。

「もういいよ…あんたがオレに話したいことは分かったよ…だが、オレは…たまよと話し合う気はもうとうない!!」
「福津さん。」
「ふざけるな!!あんたはオレにどうしろと言うのだよ!!一度リコンしたふたりをなんで結ばせようとしたのだ!?」
「うちは、お子さまのためにもう一度奥さまとやり直してほしいのよ!!」
「智之《ともゆき》のためだと!?ふざけるな!!あんたはふざけてるよ!!オレはあんたのことを一生うらむからな!!」

比佐志《ひさし》さんは、せつこさんに対して怒鳴り声をあげたあとベンチから立ち上がった。

その後、非常に激しい雨が降る中を走ってどこかへ行った。

せつこさんは、ものすごく困った表情を浮かべながら比佐志《ひさし》さんの背中を見つめた。
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