美形義兄×5! ~人間不信な姫の溺愛生活~
愛してるんだ
〈side 雲母〉
私は元々、暗かった。
お兄ちゃんのコトもあって、人前に出るのがはばかられて・・・。
そんなとき、お母さんが亡くなって、お父さんが独りで仕事を頑張って、お兄ちゃんからもお金が送られてきて・・・私だけが殻に籠ってるじゃんって。
だから、頑張って明るくなって、級長とかも立候補してみて。
・・・でも、そんなうまくいくわけがなかった。
「桜兎ー!これ、資料室に頼む!」
物理の先生から頼まれた仕事をこなして教室に帰る途中、数学の先生にまた声を掛けられる。
明るくなったけどまだ主張が少ない私は、先生にとって頼りやすいようだ。
どうしよう・・・今日はお父さんが久しぶりに帰ってくるから夕飯作らないといけないのに・・・。
「・・・先生」
焦っていると、なにかの香りがした。
レモンの爽やかな香りが近づいてきたと思ったら、今度はキャラメルのような甘い香りがする。
ふわっと頭になにかがのせられ、驚きながら少し横を見ると、雅悶と書かれた名札が見えた。
雅悶、って・・・あの、無口無表情美少女で学園のアイドルの雅悶雫宮・・・?
なにごとにも興味を示さず、自分の命にさえも執着せず、威圧感も半端ないけど遠くから見たら儚い美少女がなんでココに・・・。
それに、なんで彼女の腕が私の腕に・・・。
「が、雅悶・・・?」
「・・・それ、他の先生から頼まれてんの見ました」
「っ・・・!わ、悪い、雅悶」
「・・・何故私に」
「あ・・・!わ、悪かった桜兎・・・!」
先生は焦ったように雅悶さんに謝り、その雅悶さんの圧に耐えられず私にも謝罪して走って行った。
「・・・あの・・・」
ありがとうございます、と言おうとすると、雅悶さんは興醒めだと言わんばかりにこちらを一瞥して、すぐに視線を逸らして歩いて行ってしまった。
ヒーローの去り方じゃないけど、凄くカッコいいと思って・・・きっと、恋に落ちたんだ。
私はその時、初めて自分がレズなのに気づいた。
私が、喋ったこともない雅悶に向けている感情は、憧れにしては重すぎて。
私は・・・この人に、恋をしている。
「雲母」
名前を呼んでもらえた時。
不意に抱きしめられた時。
どんなに嬉しかったか。
彼女は同性愛者じゃない、私に向けているのは親愛だと分かっているのに、期待してしまっていた。
「・・・結婚、おめでとう」
言いにくくて、気が抜けたら涙が零れそうだった。
「・・・ごめんね、雫宮」
こんな感情で雫宮をずっと一緒に居て。
鈍感なところもある雫宮は気づかなかったでしょう?
私は・・・雫宮のコトが、好きなんだ。
ううん、好きなんかじゃない。
私は雫宮を・・・愛してしまってるんだ。
でも、彼女が幸せになれるならほかの人間に捕られてもいい、なんて善人みたいな考えは浮かんでこなくて。
「雲母」
雫宮の視界に入るコトはもうないのかな、とか。
雫宮はすぐに私のコトすぐに忘れちゃうのかな、とか。
マイナスな妄想だけが広がっていく。
「私、雲母のコト絶対忘れない。雲母も忘れないで・・・ね?」
その言葉に、どれだけ救われたコトか。
「うんっ・・・!絶対、ぜったいわすれない、がらっ・・・!!」
最後は嗚咽交じりになってしまったけど、しっかりと返事をする。
「じゃあ・・・また今度!」
私は元々、暗かった。
お兄ちゃんのコトもあって、人前に出るのがはばかられて・・・。
そんなとき、お母さんが亡くなって、お父さんが独りで仕事を頑張って、お兄ちゃんからもお金が送られてきて・・・私だけが殻に籠ってるじゃんって。
だから、頑張って明るくなって、級長とかも立候補してみて。
・・・でも、そんなうまくいくわけがなかった。
「桜兎ー!これ、資料室に頼む!」
物理の先生から頼まれた仕事をこなして教室に帰る途中、数学の先生にまた声を掛けられる。
明るくなったけどまだ主張が少ない私は、先生にとって頼りやすいようだ。
どうしよう・・・今日はお父さんが久しぶりに帰ってくるから夕飯作らないといけないのに・・・。
「・・・先生」
焦っていると、なにかの香りがした。
レモンの爽やかな香りが近づいてきたと思ったら、今度はキャラメルのような甘い香りがする。
ふわっと頭になにかがのせられ、驚きながら少し横を見ると、雅悶と書かれた名札が見えた。
雅悶、って・・・あの、無口無表情美少女で学園のアイドルの雅悶雫宮・・・?
なにごとにも興味を示さず、自分の命にさえも執着せず、威圧感も半端ないけど遠くから見たら儚い美少女がなんでココに・・・。
それに、なんで彼女の腕が私の腕に・・・。
「が、雅悶・・・?」
「・・・それ、他の先生から頼まれてんの見ました」
「っ・・・!わ、悪い、雅悶」
「・・・何故私に」
「あ・・・!わ、悪かった桜兎・・・!」
先生は焦ったように雅悶さんに謝り、その雅悶さんの圧に耐えられず私にも謝罪して走って行った。
「・・・あの・・・」
ありがとうございます、と言おうとすると、雅悶さんは興醒めだと言わんばかりにこちらを一瞥して、すぐに視線を逸らして歩いて行ってしまった。
ヒーローの去り方じゃないけど、凄くカッコいいと思って・・・きっと、恋に落ちたんだ。
私はその時、初めて自分がレズなのに気づいた。
私が、喋ったこともない雅悶に向けている感情は、憧れにしては重すぎて。
私は・・・この人に、恋をしている。
「雲母」
名前を呼んでもらえた時。
不意に抱きしめられた時。
どんなに嬉しかったか。
彼女は同性愛者じゃない、私に向けているのは親愛だと分かっているのに、期待してしまっていた。
「・・・結婚、おめでとう」
言いにくくて、気が抜けたら涙が零れそうだった。
「・・・ごめんね、雫宮」
こんな感情で雫宮をずっと一緒に居て。
鈍感なところもある雫宮は気づかなかったでしょう?
私は・・・雫宮のコトが、好きなんだ。
ううん、好きなんかじゃない。
私は雫宮を・・・愛してしまってるんだ。
でも、彼女が幸せになれるならほかの人間に捕られてもいい、なんて善人みたいな考えは浮かんでこなくて。
「雲母」
雫宮の視界に入るコトはもうないのかな、とか。
雫宮はすぐに私のコトすぐに忘れちゃうのかな、とか。
マイナスな妄想だけが広がっていく。
「私、雲母のコト絶対忘れない。雲母も忘れないで・・・ね?」
その言葉に、どれだけ救われたコトか。
「うんっ・・・!絶対、ぜったいわすれない、がらっ・・・!!」
最後は嗚咽交じりになってしまったけど、しっかりと返事をする。
「じゃあ・・・また今度!」