さよなら、わたしの初恋


「だって、もしその理由が別れが惜しくなるようなものだったらたまったもんじゃないからさ」


「……ねえ、はなび」

「なに?」


 言おうか、言ってしまおうか。
 言えばきっと、はなびは───


「やっぱ何でもない」

「そっか」


 必死に抑えた自分の欲望。
 これは身勝手で、はなびを傷つけるものだ。

 ……だから、絶対に言っちゃいけないんだ。


「薫、今日は会いに来てくれてありがとう。さようなら」


 思い直せたことに安心し、去っていくはなびと後ろ姿に少し泣いた。
 遠ざかっていく小さな背中に、そっと呟く。


「はなび、本当にありがとう。俺、はなびとまた話せてよかった。……さようなら」


 この恋心だって、いつかは終わる。
 線香花火みたいに、煌めいて、最後は地に落ちる。


 だからもう少しだけ、好きという気持ちを心の中に大切にしまっておこう。



〔完〕
< 22 / 22 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:10

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。

総文字数/158,000

恋愛(キケン・ダーク)399ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。 酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。 「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」 そんなことを、言い出した。 𓆸𓆸𓆸 にっこりと綺麗な弧を描いた妖艶な唇。 突き刺さる氷河よりも冷たく冷酷無慈悲な、感情の読めない漆黒の瞳。 それは、逸らしたくても逸らせない甘いあまい罠。 誰も愛さない。誰も愛せない。 だけど、誰よりも他人の温かさを求めている。 本物の愛に飢えた皇帝は、今日も無気力にこの世を生きる。 ꧁——————————꧂ 15代目・霜蘭花派皇帝 飛鳥馬 麗仁 -あすま りと- ꧁——————————꧂ 「わたし、本物の愛をくれる人でなきゃ、満足出来ません」 「……へぇ?そんなこと、お前ごときが言っていいとでも思ってんの?」 ナイフのように冷たい視線と、愛のない口調。 「おれはもう、お前しか見てねーんだけど」 すべてを呑み込むほどの暗く深い闇色に包まれた瞳から目を逸らせない。 「───だから早く、おれに溺れろ」 その言葉に心が揺れ動かされた時。 何も映していないようで本当は誰よりも 純粋なその漆黒に 甘く、熱く、溺れる。 執筆開始𓆸7月26日 執筆終了𓆸12月13日 (続編も公開中です♡) 素敵なレビューありがとうございます! 夜月夜冷 さま かげみつ さま 花芽みのり さま 青葉 さま
由良くん、愛さないで

総文字数/4,953

恋愛(キケン・ダーク)11ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
𑁍𓏸𓈒𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃 殺し屋 幼い頃に両親を失い、 『殺し屋』として生計を立てている。 橋呉 あすか -Asuka Hashikure- × 無気力な御曹司 普段は無気力男子だが、 あすかの前だけは笑顔が絶えない。 楪葉 由良 -Yura Yuzuriha- 𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓈒𓏸𑁍 昔助けたことのある男の子。 高校生になった今、その子を暗殺する任務を与えられた。 「もしかして──あすかちゃん?」 甘やかな声で私を呼ばないで。 そんなふうに、大切なものを見るような目で見つめないで。 あなたを殺すことを、ためらいそうになるから。 𓂃𓈒𓍼ོ𓂃𓈒 由良くん、愛さないで Start  2026.01
冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】

総文字数/36,391

恋愛(キケン・ダーク)76ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
──────❁────── 15代目・霜蘭花派皇帝 飛鳥馬 麗仁 -あすま りと- × 孤独な少女 七瀬彩夏 -ななせ あやか- ──────❁────── 「あやちゃん、今日も可愛いね」 「おれ、あやちゃんがいないと生きていけない」 あやちゃん、 あやちゃん、 あやちゃん。 あやちゃんだけが、大好きだよ。 孤高な皇帝は、今日も変わらず孤独な少女にご執心。 「わたしと麗仁くんは……昔、婚約者だったんですか?」 蘇っていく記憶、過去の傷。 麗仁が隠したかった秘密とは 「ごめん、あやちゃん。おれ、本当は───」 ♱ 素敵なリクエストありがとうございます♡ なのさま/有栖川 あみゅさま/#ルナさま みかんさま/_8oo8_さま/愛さま アスナ*さま/Mananaさま/んたさま belleさま/青葉さま

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop