身代わり婚~暴君と呼ばれた辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
16-5 アリアドネの謝罪
「「せ〜の……ヨイショ〜!!」」
二人がかりでベッドへ運ばれたエルウィンはドサリとベッドに横たえられた。
「本当にどうもありがとうございます」
アリアドネはエルウィンをベッドに運んだ2人の騎士に何度も頭を下げた。
「いいんですよ、気にしないでください」
「ええ、これくらいどうってことないですから」
礼を述べられた騎士たちはにこやかに返事をした。
「うぅ……」
すっかり酔っ払っているエルウィンは赤い顔でベッドに横たわったまま、唸っている。
「全く、エルウィン様が酔う姿なんて初めて見るよ」
「あんなに酒豪な方なのに……」
「やはり原因は……おっと!」
「馬鹿! 変なことを言うな!」
マズイことを口走りかけた騎士は他の騎士に叱責される。
「申し訳ございません。私がエルウィン様の状態に気づかないばかりにダンスに誘ってしまったせいです……」
「いえ、僕もいけませんでした。僕が余計なことを言ったばかりに」
カインの言葉にアリアドネは首を振った。
「いいえ、違います。私が一番いけなかったのです。まさかエルウィン様がお酒に酔っていたなんて……」
すっかりアリアドネは落ち込んでいる。
「アリアドネ様は悪くありませんよ。全てはエルウィン様が浴びるほどお酒を飲まれたせいですから。後は我々に任せて、どうぞもうお部屋でお休み下さい」
マティアスが声をかけるも、アリアドネは首を振った。
「いいえ、このまま戻るわけにはいきません」
アリアドネはベッドの上で赤い顔で唸っているエルウィンを見た。
「どうか私にエルウィン様の様子を見守らせてください」
『え!?』
その提案に騎士たちは驚くも……結局アリアドネの提案を受け入れたのだった。
勿論それは彼らなりの思惑があったのは言うまでも無いが、アリアドネに気づくはずも無かった――
「それではアリアドネ様。エルウィン様を宜しくお願いいたしますね」
最後まで部屋に残っていたマティアスがアリアドネに声をかけた。
「はい、エルウィン様のことはお任せ下さい。人のお世話をすることには慣れていますから」
「そうですか」
まるでメイドが主人のお世話をするような言い方をするアリアドネに、マティアスは思わず心のなかで苦笑した。
「もし……万一何かありましたら、迷わずそのベルを振り鳴らしてくださいね」
マティアスはテーブルに置かれた呼び鈴を指さしながら考えた。
(まぁ、エルウィン様はアルコールに潰れて意識が朦朧としているから、万一のことは無いと思うが……。第一、堅物のエルウィン様がアリアドネ様に手を出すとも思えないし、2人は婚約者同士なのだから既成事実が出来上がっても問題はないだろう)
「では自分もこれで失礼させていただきます」
そしてマティアスは頭を下げると、アリアドネはにこやかに返事をした。
「はい、分かりました。お気遣いありがとうございます」
マティアスや他の騎士たちの思惑に気づくこともなく――
二人がかりでベッドへ運ばれたエルウィンはドサリとベッドに横たえられた。
「本当にどうもありがとうございます」
アリアドネはエルウィンをベッドに運んだ2人の騎士に何度も頭を下げた。
「いいんですよ、気にしないでください」
「ええ、これくらいどうってことないですから」
礼を述べられた騎士たちはにこやかに返事をした。
「うぅ……」
すっかり酔っ払っているエルウィンは赤い顔でベッドに横たわったまま、唸っている。
「全く、エルウィン様が酔う姿なんて初めて見るよ」
「あんなに酒豪な方なのに……」
「やはり原因は……おっと!」
「馬鹿! 変なことを言うな!」
マズイことを口走りかけた騎士は他の騎士に叱責される。
「申し訳ございません。私がエルウィン様の状態に気づかないばかりにダンスに誘ってしまったせいです……」
「いえ、僕もいけませんでした。僕が余計なことを言ったばかりに」
カインの言葉にアリアドネは首を振った。
「いいえ、違います。私が一番いけなかったのです。まさかエルウィン様がお酒に酔っていたなんて……」
すっかりアリアドネは落ち込んでいる。
「アリアドネ様は悪くありませんよ。全てはエルウィン様が浴びるほどお酒を飲まれたせいですから。後は我々に任せて、どうぞもうお部屋でお休み下さい」
マティアスが声をかけるも、アリアドネは首を振った。
「いいえ、このまま戻るわけにはいきません」
アリアドネはベッドの上で赤い顔で唸っているエルウィンを見た。
「どうか私にエルウィン様の様子を見守らせてください」
『え!?』
その提案に騎士たちは驚くも……結局アリアドネの提案を受け入れたのだった。
勿論それは彼らなりの思惑があったのは言うまでも無いが、アリアドネに気づくはずも無かった――
「それではアリアドネ様。エルウィン様を宜しくお願いいたしますね」
最後まで部屋に残っていたマティアスがアリアドネに声をかけた。
「はい、エルウィン様のことはお任せ下さい。人のお世話をすることには慣れていますから」
「そうですか」
まるでメイドが主人のお世話をするような言い方をするアリアドネに、マティアスは思わず心のなかで苦笑した。
「もし……万一何かありましたら、迷わずそのベルを振り鳴らしてくださいね」
マティアスはテーブルに置かれた呼び鈴を指さしながら考えた。
(まぁ、エルウィン様はアルコールに潰れて意識が朦朧としているから、万一のことは無いと思うが……。第一、堅物のエルウィン様がアリアドネ様に手を出すとも思えないし、2人は婚約者同士なのだから既成事実が出来上がっても問題はないだろう)
「では自分もこれで失礼させていただきます」
そしてマティアスは頭を下げると、アリアドネはにこやかに返事をした。
「はい、分かりました。お気遣いありがとうございます」
マティアスや他の騎士たちの思惑に気づくこともなく――