キスまでの距離
第4話 キスはイバラの道

1.コックさん



胡蝶はシフト制のため、働く曜日や時間は日によって様々だ。


朝一からの出勤が多かったあたしも例外ではなく、その日は珍しく17時からだった。



毎日のようにシンさんに送り迎えしてもらっていたが、社員だから常に朝から出勤のシンさんに、さすがに迎えに来てもらえるわけがなく、あたしは久々に自転車で胡蝶まで来た。



「暑ッ……」


たった10分とはいえ炎天下で自転車を漕いでいたのだから、汗がダラダラ流れている。


早く冷房の効いた店内に行きたいと、勢いよく裏口の扉を開けると、そこには白いシンさんが立っていた。

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