繋いだ手は離さない
第1章
     1
 ボクはその日、愛理香(えりか)と一緒に自宅アパートにいた。


 大学の授業がないのをいいことに、誰にも邪魔されることなく、二人きりで過ごしていたのだ。


 ボクはリビングで立ち上げていたパソコンに向かい、彼女とネットを見ていた。


 ポータルサイトには次々と新しいニュースが配信されてくる。


 ボクたちはそれらを見ながら、休日を送っていた。


 そう、何気ない一日を、だ。


 ボクはパソコンのディスプレイを見つめながら、呟くように言った。


「……今日、ちょっと雨降ってるね」


「ええ」


「俺、少し頭痛がしてさ」


「頭痛?」


「うん。頭の右側から耳元までがズーンってするんだよな」
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