繋いだ手は離さない
第16章
     16
 愛理香は高北大学大学院人文科学研究科に進むことを決めて、受験勉強をし続けた。


 ボクも就職せずにバイトをしながら、自分の夢を追いかけることを誓っていた。


 もちろん卒業後も一緒の町に住みながら、だ。


 ボクたち二人は互いに離れずにいたいと思っていた。


 それはある意味言えば、切なる願いなのである。
 

 そして二人でいることでボクたちは相当癒されていた。


 二人でいれば、どんな困難も乗り越えていけると思っていたし、実際そうなのだ。


 たとえ、蒸すように暑い夏が訪れようと、また凍えるように寒い冬が訪れたとしても……。


 それだけボクたちはしっかりと、目には見えないもので結ばれていた。


 存在を確かめ合えるだけで、十分幸せなのだ。


 ボクは一応、その年の前期の授業が始まると、ゼミに出席しながら原稿を書き続けていた。

< 104 / 124 >

この作品をシェア

pagetop