繋いだ手は離さない
「うん。引っ越したばっかで、荷物が散らかってるし、掃除もろくにしてないから汚いんだけどな」


「いいわよ。あたしが来て、ちゃんと掃除してあげるから」


 愛理香が頷き、笑顔を見せる。


 ボクたち二人は、時間に相当余裕があるので、ゆっくりと歩いていく。


 今夜は愛理香もボクの部屋に泊まり込むつもりでいるのだ。


 彼女は一日ぐらい汚れた下着を付けていても全然平気らしい。


 本当は年頃の女の子なのだから、清潔にするのが当然のはずなのだが、愛理香は構わないようだった。


 それにボクも自分の部屋着を彼女に貸してもいいとぐらい思っていた。


 ボクたち二人はものの数分で部屋へと着く。


 キーホールに鍵を差し込んだボクが右回りにクルッと回した。


 ガチャリという音がしてドアのロックが解除された。


「いい部屋ね」
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