繋いだ手は離さない
第6章
     6
「もうすぐ着くから」


「うん、分かってる」


 ボクの言葉に愛理香が頷き、カーラジオを付けたボクが、昼前にオンエアーされているFMを聴きながら、運転し続ける。


 彼女は朝寝してすっかり疲れが取れたのか、生き生きしていた。


 ボクは町へ向かって運転しながら、考えてしまう。


“これから夏が始まるな”


 今年の夏は早速一つ、いい思い出が出来た。


 こうやって愛理香と一緒に海に来られたことだ。


 そしてボクは八月にあることを計画していた。
 

 それは町の北側にある山間部をドライブすることだ。

 
 一際狭く、舗装もあまりされていない場所を行くのだが、ボクは運転に自信があった。

 
 免許取り立てで、本当は慣れない山間の道を行くのは危ないのだが、ボク自身、こうい
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