繋いだ手は離さない
 大学入学後、三度目となる夏が訪れようとしていた。


 皆が就活に力を入れ出す頃だ。


 だが、ボクも愛理香もその辺は鷹揚(おうよう)に構えていた。

 
 ボクは就職する気は更々(さらさら)なかったし、愛理香も大学院への進学を視野に入れているようで、目立って就職活動していないみたいだ。


 それだけ互いに暢気(のんき)なのだった。


 カップルは自然と似た者同士になってくる。


 いい意味でもそうでない意味でも、だ。



< 82 / 124 >

この作品をシェア

pagetop