《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
「ユフィリア、そうだったのか……」
聖女のグラシアを求めて教会にやってくる者たちの大半は、聖都の中級平民か金持ちの貴族たちだ。ろくに金銭を払えない貧民は聖女の手が空いている時間にごく簡単な治療を施されるか、運が悪ければ容体が悪くともその場で門前払いとなる。
残酷だが、これがレイモンド司祭が牛耳る中央大聖堂の現状だ。
──教会に来る者たちは他の聖女らに対応させておけばいい。金銭を払えない貧しい者たちを教会に隠れて治癒するために、昼間は無能を装ってグラシアを温存していた。そういうことなのだろう? ユフィリア……!
しかもあれだけの数の貧民患者をごく短時間のうちに治すには、甚大な治癒力《グラシア》が必要だ。聖女として相当な実力者でなければ不可能だろう。
「……貧民街で私が見た君は、まさに貧しき者たちを救う孤高の『月夜の女神』だった」
レオヴァルトは感嘆のあまり、音のない声を漏らす。
『民を捨てて逃げるのか、レオヴァルト』
唐突に、地を這うような低い声が耳元で囁いた。
レオヴァルトを責め立てておきながら、自身は侵略の為だけに生き、国民の屍の上に座す鬼人と呼ばれる、レオヴァルトの腹違いの兄の声だ。
──捨てるのではない。救いたいがために、私は──……。
「ユフィリア……。私も君と同じ志を持ち、黒騎士となって国を出たのだ」
周囲の者たちから失望され、どれほど罵られても、己の信念を貫く為に。
強力なグラシアを持ちながら自ら汚名を甘んじて背負い、クズ聖女を装っているユフィリアは、どこか自分に似ている気がする。
── 《怠惰で無能なクズ聖女》ユフィリア。なんと健気で愛らしいのだ……!
人知れず物思いに耽り、朝陽を見上げるレオヴァルトの黄金《きん》の瞳は、橙色《とうしょく》の陽光を映して輝いていた。
聖女のグラシアを求めて教会にやってくる者たちの大半は、聖都の中級平民か金持ちの貴族たちだ。ろくに金銭を払えない貧民は聖女の手が空いている時間にごく簡単な治療を施されるか、運が悪ければ容体が悪くともその場で門前払いとなる。
残酷だが、これがレイモンド司祭が牛耳る中央大聖堂の現状だ。
──教会に来る者たちは他の聖女らに対応させておけばいい。金銭を払えない貧しい者たちを教会に隠れて治癒するために、昼間は無能を装ってグラシアを温存していた。そういうことなのだろう? ユフィリア……!
しかもあれだけの数の貧民患者をごく短時間のうちに治すには、甚大な治癒力《グラシア》が必要だ。聖女として相当な実力者でなければ不可能だろう。
「……貧民街で私が見た君は、まさに貧しき者たちを救う孤高の『月夜の女神』だった」
レオヴァルトは感嘆のあまり、音のない声を漏らす。
『民を捨てて逃げるのか、レオヴァルト』
唐突に、地を這うような低い声が耳元で囁いた。
レオヴァルトを責め立てておきながら、自身は侵略の為だけに生き、国民の屍の上に座す鬼人と呼ばれる、レオヴァルトの腹違いの兄の声だ。
──捨てるのではない。救いたいがために、私は──……。
「ユフィリア……。私も君と同じ志を持ち、黒騎士となって国を出たのだ」
周囲の者たちから失望され、どれほど罵られても、己の信念を貫く為に。
強力なグラシアを持ちながら自ら汚名を甘んじて背負い、クズ聖女を装っているユフィリアは、どこか自分に似ている気がする。
── 《怠惰で無能なクズ聖女》ユフィリア。なんと健気で愛らしいのだ……!
人知れず物思いに耽り、朝陽を見上げるレオヴァルトの黄金《きん》の瞳は、橙色《とうしょく》の陽光を映して輝いていた。