《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
神官に怪我人の居場所を伝えると、馬の背に跨ったままのレオヴァルトは頬を汚した泥を手の甲で無造作に拭い、気怠げに眉をひそめた。
「この穢れ。教会に入るにはいちいち祓わんとならんのか……めんどいな」
その時、ドドッ、ドドッと地鳴りのような鈍い音とともに二人の黒騎士がやってきて、惨状を前に馬の足を止めた。そして見る影も無く汚泥と化した魔獣を驚いたように眺め、さも残念そうに落胆の声をあげる。
「チッ! これじゃ金にならねぇ」
「泥の量が半端ねぇ。こんなデカい獲物をあいつ一人で殺《や》ったのかよ?! おいおい嘘だろ……ッ」
神官に導かれながら、イザベラは遅れてやってきた黒騎士たちの声を聴いていた。
「……ふぅん」
──レオヴァルトとか言うあの男。
やっぱりクズ聖女のお相手には相応しくないようね?
内面に秘めた思惑を舐めるように、イザベラは赤く塗った唇を湿らせるのだった。