《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!

 そしてレオヴァルトの大切なものである彼らふたりが、痛みに必死で耐えるユフィリアの姿と重なった。

 ──くそ……っ! それと知りながら、私は何も出来ないのか。レイモンドの非道を見過ごすしかないのか。ケイツビーとザナンザだってどんな目に遭わされているか知れない。一刻も早く、ふたりをこの腐った場所から救い出さねば……!

 グラシアを注ぐ手元に集中しながら、グレースは治療を続けている。
 背中の傷の半分がすでに治癒され、苦しげだったユフィリアの吐息も随分と静かになった。

 大聖堂から……この街から、出ていきたいの。
 結界の外に出て、広い世界を見てみたい。
 もっと自由に、困っている人の役に立ちたい。
 自由にグラシアを使いたい。
 鳥篭を出て自由に生きてみたいの。

 あの時ユフィリアは遠い目をして語った。
 まるで、叶わぬ夢でも見るように。




< 172 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop