このドクターに恋してる

「やっぱり陽菜ちゃんはおもしろいね。今朝、美結ちゃんから聞いたよ。俺のファンなんだって？」
「えっ？　そ、それは……その……」

　美結ったら、なにを話しているのよー。
　子どもはどんなことでも話してしまうから、下手なことは言えないのよと美久さんがぼやいていたことが脳裏をよぎる。
　まさに、こういうことだ……。
　私は一瞬青ざめたが、すぐにカアッと顔が熱くなった。
　恥ずかしい、どう答えたらいいのか……。
　ファンであるのは間違いではないが、本人に知られるとは今すぐに穴を掘って潜りたい気分だ。

「陽菜は宇部先生だけではなくて、郁巳先生のファンでもあるんですよ」

　青くなったり赤くなったりと動揺する私の横で、希子さんがしれっと暴露した。
　私は希子さんの腕を掴んで、大きく揺する。

「なにを言うんですかー。希子さん」
「なにって、ほんとのことでしょ？　いつも先生たちを見かけるたびにキャアキャア興奮しているじゃないのよ」
「興奮って、そんな言い方……誤解されちゃいますからー、やめてください」
「誤解じゃないわよ。かっこいいーって、いつも目をハートにしているでしょうに」