今日は我慢しない。
「花火大会、誘いたい人がいるの……?」


 好奇心と、恐怖と、わずかな期待。

 私の複雑な思いを含んだ質問に、佐柳は伏せていた顔を横に戻して私に視線を送る。


「……」


 佐柳が引き結んでいた唇をわずかに開けて、何か言おうとしたとき。


「おい原田! 三条さん誘ったんだろ!?」


 外から男子の大きな声が聞こえた。

 その楽しそうな声は下の中庭の方からで、校舎内に響きわたっている。


「ちゃんと言えたのか? どうなったんだよ!」


 位置的に窓の外は見えないけど、そのにぎやかな声ははっきりと聞こえてきて、原田くんを取り囲んで茶化す男子たちの姿が簡単に想像できる。

 なんてタイミング……

 私は佐柳の視線から逃れるようにうつむいた。

 原田くんたちの会話はまだ続く。


「んー……保留的な?」

「マジ!? いけるんじゃね!?」

「いやーどうかな。 まぁ頑張ってみるけど」

「あともう一押しでいけるって絶対! がんばれ原田!」

「おう……!」


 原田くんたちの声は次第に遠くなり、校門のほうへと消えていく。


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