今日は我慢しない。
「……」


 もうどうしたらいいかわからなくて、なにも言葉にできない。


「……俺、待ってるから」

「え……」

「当日、花火が始まる30分前に。 駅の改札出たとこで、待ってるから」


 そう言って原田くんは背を向けて、教室を走り去ってしまった。


 完全に原田くんの気配がなくなった後、思わず深くため息を吐いた。

 私には、好きな人がいる。

 だから原田くんは断るべきだ。

 だけど、原田くんの強い気持ちが今の自分と重なって、声にできなかった。

 断ったらどれほど傷つけてしまうだろう。

 私は佐柳を好きになって、好きな人ができるってこんなに幸せなことなんだって感動した。

 だけど、前に進もうと思うとこんな辛い思いをすることもあるんだ。

 これ以上私から原田くんに対してできることはない、早く断るべきってわかってても、原田くんの勇気を思うと胸が痛くて、行動に移せなかった。



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