へなちょこリリーの惚れ薬



ノア様の気持ちが解る。




彼のためなら、きっとおばあちゃんは自分の命を投げ出していただろう。
気が強いおばあちゃんだから。

だから、ノア様は黙っていた。
自分の命を使って、おばあちゃんを守った。

好きだったから。

「おばあちゃんが生きててくれたから、お母さんが生まれて、私が生まれた。私は、ノア様と黒百合がいたおかげで、生きてるの。だから……」

彼を恨まないで。
彼女を憎まないで。

「自分を責めないで、ノア様は……。国よりなにより、おばあちゃんだけを守りたかったの。黒百合は悪役を買って出てくれたのよ」



おばあちゃんは何も言わなかった。
私にはきっと、説得なんてできない。

わかってもらう、なんて、無理かもしれない。

「……リリー。トレニアたちを送って行きましょう」
< 130 / 275 >

この作品をシェア

pagetop