へなちょこリリーの惚れ薬
3日後の満月の夜。
あたしたちは真夜中に校門前で待ち合わせた。


「見回りの先生とかいないかな」
「いるかもね。静かに行こう……キャッ!」
「トレニア!!」

言ったそばから、彼女は乗り越えたつもりの鉄製の校門から落っこちた。

「あいたたた……。リリー、気をつけてね」
「う、うん」

着地成功。

「あ、こっちから開ければ良かったね」
「……ま、気にしない。行こう!」



ドキドキしながら侵入したのに、
結局誰にも合わず、あたしたちはバラを数十本入手した。
たぶん、学校で問題になるだろう。

続きは明日やることにした。

「学校どうする?」
「胸のドキドキで学校休みますって言っとけばいいよ」

さ、帰ろう、とトレニアが振り向いた途端。

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