彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
 その日の夜、ゲストルームのベッドで寝ていたら、変な夢を見た。誰かが目の前で何か小声で話しているけど、真っ暗で誰だかわからない。手や唇の端に何か柔らかいものが一瞬触れたような気もした。眠くて目を開けられなかった。

 朝になり、リビングを覗くとすでに先生が起きていた。

「おはようございます」

「ああ、おはよう……」

 先生の目の下に隈がある。

「先生、まさか寝てないんですか?」

「いや、あまり眠れなくてね……でも少しは寝たよ」

 嘘に決まってる。

「先生。昨日の夜、ゲストルームに来ました?」

 先生はびくっと携帯の画面から顔を上げてこちらを見た。

「そうだな、君がきちんとベッドで寝たか確認だけした」

「え?ベッド以外で寝たりしませんよ」

「そうか?」

「そうです。ベッドで寝ました」

「確かにベッドで寝ていた。あ、いや、覗いたら寝ていた」

 私がじいっと見たら先生は目を反らした。変な先生。
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