キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
義父は俺を追い出したいのだと気づいた。
俺のためだと言いながら、俺が邪魔で仕方ない。
遠ざけるための金はいくらでも出すということなのだろう。
「……わかった。高校から一人暮らしする」
母さんは心配したが、大丈夫だと言い聞かせた。
実際母さんは弟たちの育児に手いっぱいだし、俺のことを構っている暇などない。
それに母さんがようやくつかんだ幸せなのだから、母さんの邪魔はしたくなかった。
その翌日、来年から糸奈学園高等部への推薦入学が決まった。
何もしていないが、裏で義父が手を回したらしい。
形だけの面接は行ったが、「玖央ホールディングス様のご子息に来ていただけるなんて光栄です」とただ持ち上げられるだけで終わった。
「息子をよろしくお願いします」とにこやかに言う義父の白々しさに反吐が出そうになる。
俺のことを疎ましく思っているくせに、よく言う。
さも良い父親ヅラしやがって。
俺は受験勉強をしなくて良くなった時間の間に、通販サイトを立ち上げた。
別に理由なんてない。ただの暇つぶし、バイト感覚だった。
ファッション系の通販サイトにしようと思ったのは、昔つづとこんな会話をしたことを思い出したからだ。
「ねぇあやくん、見て! この人すっごくかわいくない?」