キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 世話係という名目なら、つづも罪悪感なくここにいられるだろうと思った。

 でも、これは完全にイジワルだった。


「一日一回必ずキスして」


 我ながらあり得ないと思った。
 だけどつづに弟扱いされるのが悔しかったから。

 強引にでも振り向かせたい。
 そのやり方が最低なのはわかってる。

 こんなやり方でしか気を惹く方法がわからないなんて、マジでダサいと思う。

 流石のつづも否定してきた。


「そっ、そんなのダメだよ!」

「なんで?」

「だって……っ、あやくん付き合ってる子いるんでしょ?」

「彼女なんていないけど」

「えっ!?」

「彼女ではない」


 寄ってくる織笠や他の女子たちのことがめんどくさくて、適当にかわしていたらいつの間にか「女を取っ替え引っ替えしてる遊び人」だと噂されるようになっていた。

 誰とも付き合ってないし誰とも遊んでなんかないが、別に好きに言わせておけばいいと思って否定も肯定もしてこなかった。

 こんな言い方したらつづに誤解されることもわかっていたが、それでもいいと思った。
 これくらい危機感持たせないと、つづは俺を男として見ないだろうと思ったから。


「つづがキスしてくれるなら、他の子とは遊ばない」


 普通に考えたら、こんな最低なやつの言うことなんか聞くはずがない。
 でも、つづは「わかった」と頷いた。

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