『Special Edition③』
*
「旨いか?」
「うん!やっぱり秋はモンブランだね~~♪」
バッティングセンターから程違いカフェ。
俺ら行きつけのこのカフェは住宅街の中にあって、穴場的スポット。
ご近所の主婦らのたまり場になっていて、俺らのような高校生は殆ど見かけない。
オーナーのハンドドリップの珈琲が絶品で、パティシエでもあるオーナーの奥さんが作るスイーツは小春の大好物だ。
期間限定のモンブランパフェを頬張りながら、フフゥ~ンと上機嫌な小春。
そんな小春に顔を近づけ、無言で口を開ける。
「一口だけだよ?」
「あ」
黒光が美しい紫壇で出来たパフェスプーン。
和風のスイーツによく映える。
そのスプーンが口の中へと。
モンブランのクリームとホイップクリームの甘さ。
それと胡桃やアーモンドといったナッツの食感が同時に味わえる。
「旨いな」
「柿のパフェも食べたいから、また来ようね」
「……ん」
秋限定のパフェだからか。
小春から、デートのおねだりだ。
「今年のクリスマス、どうする?」
「クリスマス?」
「ん」
「気が早くない?まだ10月だよ?」
「……そうか?」
学校と自宅を行き来するだけの小春にとっては『まだ』10月なのかもしれないが、俺にしてみれば、『もう』10月だよ。
一昨年の秋に事故に遭い、記憶を失い。
去年の秋に1年ぶりに記憶を取り戻した、小春。
あれから1年。
あっという間に月日が流れて、俺はもうすぐ20歳になる。
許嫁ではあるけれど、小春が高校を卒業するまで入籍はお預けということになってるから。
形だけでもイベントごとに何かしてやりたいと思うのは、惚れた弱みなのだろうな。
「旨いか?」
「うん!やっぱり秋はモンブランだね~~♪」
バッティングセンターから程違いカフェ。
俺ら行きつけのこのカフェは住宅街の中にあって、穴場的スポット。
ご近所の主婦らのたまり場になっていて、俺らのような高校生は殆ど見かけない。
オーナーのハンドドリップの珈琲が絶品で、パティシエでもあるオーナーの奥さんが作るスイーツは小春の大好物だ。
期間限定のモンブランパフェを頬張りながら、フフゥ~ンと上機嫌な小春。
そんな小春に顔を近づけ、無言で口を開ける。
「一口だけだよ?」
「あ」
黒光が美しい紫壇で出来たパフェスプーン。
和風のスイーツによく映える。
そのスプーンが口の中へと。
モンブランのクリームとホイップクリームの甘さ。
それと胡桃やアーモンドといったナッツの食感が同時に味わえる。
「旨いな」
「柿のパフェも食べたいから、また来ようね」
「……ん」
秋限定のパフェだからか。
小春から、デートのおねだりだ。
「今年のクリスマス、どうする?」
「クリスマス?」
「ん」
「気が早くない?まだ10月だよ?」
「……そうか?」
学校と自宅を行き来するだけの小春にとっては『まだ』10月なのかもしれないが、俺にしてみれば、『もう』10月だよ。
一昨年の秋に事故に遭い、記憶を失い。
去年の秋に1年ぶりに記憶を取り戻した、小春。
あれから1年。
あっという間に月日が流れて、俺はもうすぐ20歳になる。
許嫁ではあるけれど、小春が高校を卒業するまで入籍はお預けということになってるから。
形だけでもイベントごとに何かしてやりたいと思うのは、惚れた弱みなのだろうな。