騙すなら墓場まで



「土門さんがね、お父さんが逮捕されたって言い出したの」



 おかしな話でしょう。お父さんが逮捕されるようなことをするはずないのに。きっと何かの間違いで、すぐ帰ってきて私たちを祝福してくれる。そうでしょう?



 私が電話口で捲し立てるのを、伊月さんは黙って聞いていた。相槌を打つ暇もなく話しかけるなんてはしたない。頭ではわかっていても、不穏な予感が私の口を勝手に動かしてしまう。

 伊月さんからは吐息さえ返ってこなくて、今度は電話の向こうにいるのは本当に伊月さんなのだろうかと怖くなってきた。


「……伊月さん?」

「ああ、聞いてるよ」


 返事らしい返事に、知らず知らずのうちに握りしめていた手が緩んだ。


「良かった。ねぇ、伊月さん──」

「ドアを開けてみて」


 伊月さんの有無を言わせない口調が私の言葉に被さる。裏にある高圧的な雰囲気を浴びせられ、私はどうしようもない違和感に身体がすくんだ。







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