騙すなら墓場まで
「そうですか……それならそれで大丈夫です。ありがとうございました」
身体を縮こませる女性に笑いかける。気にしていないと伝えたかったけれど、彼女はますます小さくなってしまった。
「誠に申し訳ございません……!」
「あの、本当に大丈夫です」
こっちがいたたまれなくて、「あっちで待っていて良いですか?」と革張りの長椅子を指差した。人があまりいないあそこで座って待っていよう。
「もちろんです、どうぞ」
「ありがとうございました」
背中に「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪がすがりついてきて、そそくさと長椅子に座る。膝に乗せたお弁当はほんのり温かい。
電話の様子では急いでこっちに向かっているようだったから、そんなに時間はかからないだろう。来たらすぐに渡してさっさと帰ればいい。
自分自身にそう言い聞かせて気持ちを落ち着かせる。足をぴったり閉じ直していると、目の前に革靴が見えた。
何の気なしに視線を上げた。